枯れた技術の水平思考

世の中わからないことだらけだ.少し確かなことは検証をしたことだけ

法人を設立し独立した/あるいは退職エントリー

まえがき

1 月 6 日に法人を設立し、2 月から独立しました。

一部の方には冗談で言っていた「btj.systems《ぶとじシステム》」を合同会社として法人登記し、2 月からこの法人でお仕事をいただき、生活しております。

btj.systems 合同会社 - Software Development for Distributed Systems and High-Traffic, Low-Latency Content Delivery

btj.systems 合同会社 - Software Development for Distributed Systems and High-Traffic, Low-Latency Content Delivery

どういう意図で独立を考え、決断したのかを記事にまとめ、今後どのようなことをしたいかを記事として残そうと思います。

後半には 「なぜフリーランス個人事業主)ではないのか」という観点からもこの記事を書いています。

なぜ独立し法人を設立したのか/あるいはなぜ退職を選んだのか

2021 年 10 月からプレイドKARTEのリアルタイム配信/分析の開発や運用を行っていました。

もともと私は分散 KVS や分散ストレージ、分散データベース、分散システムやリアルタイムネットワーク通信の技術や研究に興味がありました。

プレイドでも業務時間の一部でデータベースの論文を読み、社内勉強会で発表を行っていました。

しかし、論文を読めば読むほど、これらを作り研究する仕事をしたいという気持ちが強くなっていきました。

プレイドはかなりヘビーに分散 KVS である Bigtable を活用している企業です。 さらには AlloyDB のプライベートプレビューに参加していたり、 Spanner や Kubernetes の大規模なクラスターも運用しています。

AlloyDBのPrivate previewに参加し、Google I/Oでコメントが引用されました

AlloyDBのPrivate previewに参加し、Google I/Oでコメントが引用されました

5/12(日本時間)にGoogle I/Oで AlloyDB と呼ばれる新しいデータベースプロダクトがアナウンスされ、弊社のコメントもイベント内で引用して頂きました。この記事では、AlloyDBの特徴とPLAIDで今後どの様に使っていきたいかをご紹介します。

プレイドに在籍したままであっても貴重な経験が得られることは間違いないですし、所属しているエンジニアのレベルも非常に高く、自身のスキルが伸びることは間違いないです。

迷いが生じたのは昨年 5 月、副業で Raft ベースの分散ストレージ開発業務を受けはじめた頃でした。

理想とする業務を副業で週末にこなしつつ、プレイドで開発と運用をする日々を送っており、余暇に論文を読んだり実装したりする時間がなくなってきました。

実装をしたいもの、読みたい論文はたくさんあるものの日々の業務と副業に追われそれどころではなく、その頃からこれらの領域を専門として仕事をできないかと強く考えるようになりました。

しかし、このとき「プレイドをやめてしまったら、もうこのレベルの会社には入ることができないのでは」と考えていました。

優秀な同僚や働き方、福利厚生、サービス規模と技術のどれをとっても今後私の人生でここよりいいところに入社できるとは今でも思えないです。

それでも、副業で分散ストレージの開発を委託してくださっていた会社様と、それとは別の会社様からこれまた面白い仕事をいただけるチャンスがありました。

「今までの努力はこのチャンスを活かすためだったのでは」「今を逃したら一生後悔するのでは」と考え、独立を決意しました。

得意な領域で楽しいと思える仕事をこなしつつ、得意領域で開発のお手伝いをしつつ、自社のサービスを展開していこうと思います。

分散 KVS や、分散ストレージ、分散システム、リアルタイムネットワーク通信でお困りのことがありましたら、ご連絡ください。

法人設立はこれで二度目です。 今度こそ 10 年は続く会社にしたいなと思います。

これからについて

今後この法人では以下の 2 軸で展開していく予定です。

  • 当面: 私が得意とした領域で開発のお手伝いをする
  • 中長期的: 私が得意な領域で利益の柱となる事業を立ち上げる

現在は、二つの会社様で開発のお手伝いをしております。 当面は開発のお手伝いをしつつ、中長期的に自社の事業を生み出していく予定です。

時雨堂さんのように自社が得意とする領域で他社様をお手伝いし、自社サービスを展開するというのが理想です。 (いつもたくさんアウトプットをありがとうございます)

時雨堂コトハジメ

時雨堂コトハジメ

時雨堂コトハジメ. GitHub Gist: instantly share code, notes, and snippets.

時雨堂自社製品コトハジメ

時雨堂自社製品コトハジメ

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なぜフリーランス個人事業主)ではないのか

前提として、私は持病があり、決して健康体ではないということがあります。

その上で、以下の課題があり、フリーランスは選びませんでした。

国民健康保険は収入により、全国健康保険協会協会けんぽ)と比較し、月々の保険料が高額になります。 退職前の会社の保険を任意継続する方法がありますが、これも期限があることと、傷病手当の受給対象にならないという問題があります。

老後 2000 万円といわれる昨今ですので、大多数の労働者と同じように厚生年金として年金を納めることで、将来の不安が多少軽減されると考えました。

また、最も大きな要素として、フリーランスには傷病手当のような仕組みがありませんでした。 就業不能保険のようなものは保険会社から提供されていますが、これは以下の理由により選択肢として除外しました。

特定企業の判定基準による支払い

特定の企業により提供されている保険は企業の基準によって支給/不支給を判断されます。 体調が芳しくないときに不支給となった場合、非常に労力をかけて異議申し立てなどを行う必要があります。 体調が芳しくないときにこれらを一人でやりきる自信がなかったため、こちらは選択肢から除外しました。 もっとも傷病手当であっても、そのようなことは起こりえますが、保険会社より起こりえないと考えました。

精神疾患が対象外(なことが多い)

一般に、情報通信業メンタルヘルスの理由による休業や退職が多いと言われています。

厚生労働省「平成 27 年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、情報通信業(IT 業)のメンタルヘルス上の理由により休業又は退職した労働者数の割合が特別高い

情報通信企業A社(東京都):職場のメンタルヘルス対策の取組事例|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

情報通信企業A社(東京都):職場のメンタルヘルス対策の取組事例|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省サイト)です。職場復帰支援に取り組んでいる事業場の実際の活動事例を紹介しています。情報通信企業A社(東京都)です。

そのため、精神疾患が保障の対象から外れてしまうことは、目的の大部分を達成できないと考えます。

また、 特定企業の判定基準による支払い で説明したように仮に精神疾患を保障している保険であっても、あくまで一企業の判断基準により不支給になり得ます。 そのようなリスクも考慮すると、就業不能保険ではカバーできないと判断しました。